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過去完了の結婚史7

都井は元来成績優秀な人物だったが、両親に先立たれ祖母に育てられ、
実家に財産が無かったために上級の学校に行けず、
祖母も孫を手放すことがつらかったため、田舎の村にとどめおいた。
気力、能力の十分にある人間が未来の無い山村にとどめおかれたことで、
彼のなかにはもやもやとした欲求不満がつのっていった。
悪いことに、かれは肺結核に罹患し、
徴兵検査に不合格になってしまった。

当日の田舎の人々にとって徴兵検査で不合格ということは、
ほとんど人間失格という意味であった。
自尊心の強い彼には耐え難いことであった。

そのような彼の不満は、次第に狂気の様相を呈するようになる。
猟銃に懲り、近所の人々から恐れられるようになる。
おそれれば疎むのが人情であって、
当然かれは疎まれるのであるが、
本人にとっては徴兵検査不合格の屈辱に合わせて、
近所の人々が自分を馬鹿にしている、報復したいという暗い感情を増幅する結果となった。

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