写真の話題

写真の品格

今回表紙に使ったkumiko様の写真は、

木下ひろこさんが撮影したものである。

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えらく格調の高い写真である。

ひろこさんは元来、動き回って撮影するタイプではなく、

その逆、一箇所にとどまって、ひたすらシャッターチャンスを待つタイプで、

シャッターチャンスがなければ、そのまま撮るのを止めてしまう。

そんなわけで撮影枚数は少なくなるし、

私なんぞはもっと動いて撮影して、

もっと無駄打ちしてもよいと思うのだが、

そのかわり数は少なくても、「本物の」写真が撮影できる。

本物の写真とはすなわち、余分な意図なく、小さな自己顕示もなく、

対象物を最善に撮影しようと、ただそれだけを純粋に考えて撮った、

真っ直ぐな、強い写真のことを言います。

昔お客様に彼女の写真を納品する際には、

「1年後、2年後に見返して下さい。

時間がたつと本当の価値がわかってくる写真です」

とお伝えしていました。

今のHPに掲載されていない、過去の彼女の作品をいくつがご紹介しておきます。

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BCによる撮影

当店のBC(当日の着付け、コーディネートの手伝い)は、

その日社内にカメラが余っていると、持っていって記録用に撮影をする。

スタッフの福田さん

(おそらく来店されたお客様の目に触れる回数が一番多いであろう人です)

も、気が乗れば結構撮る。

今回は昨年12月11日挙式のMariko様の当日写真。

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彼女は正規のカメラマンではないから、

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「写真として完成されたもの撮影しよう」という気持ちは、

全く無い。

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自分が手がけたコーデディネイト、花嫁姿を、

なんとか絵として残したい、その気持ちが大変強い。

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だから被写体に、ぐいぐいのめりこむような撮り方をする。

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親が子供を撮影しているようで、

傍から見れば少々コミカルなほどである。

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撮影技術は持って居ないが、気持ちだけでレンズを向け続ける。

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すると不思議なもので、

いわゆる「カメラマン」には撮れないような、

力のこもった写真が上がってくる。

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きっちりカメラを勉強したら、凄いことになるんだがなあと、思うのだが、

福田さんにその気がなさそうなのが残念である。

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ブライダル写真?その2

珍しく反響があったので、

いきなり続編である。

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3月、TERAKOYAさんでの挙式。

ヘアメイクは変則的に、髪が福田さん、メイク高橋さん。

写真撮影は木下ひろこさん。

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四国徳島に、「立木写真館」という、

テレビドラマにまでなった有名な写真館がある。

私の理解では、現在の全国の結婚式の写真業務は、原則的に、

その写真館の編み出したやりかたの、延長線上にある。

豪華なアルバムを残すための撮影である。

いわゆる、きめきめの撮影である。

彼らのことは大変尊敬しているし、

当時の機材、および結婚式のスタイルでは、

それ以上の良いやり方は、考えられない。

しかし、時代は変わった。

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機材は安く、優秀になり、

デジタル化によって、1枚あたりのコスト計算が意味をなさなくなった。

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結婚式のありかたも変わった。

昔は高砂というところが必ずあり、

仲人というひとが、新郎新婦の両側を

がっちり固めていたものだ。

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当時は和装が中心で、

新婦はしめやかに語らい歩み、

をりふしに瞳をあげるかどうかまではいざ知らず、

現実の花嫁も、動かない、静的な存在であった。

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時代はめぐって現在、花嫁衣裳といえばドレスが中心になった。

そして、ドレス業界には、

「女性が笑うとき、ドレスも笑わなければいけません」

という有名な言葉がある。

ドレスは、女性の動きに柔らかく追随してこそドレスだ、

という意味なのだが、

この言葉を発したのは、マドリーヌ・ヴィオネというデザイナーで、

彼女は、そのデザインに対する好悪はまったく別にして、

ドレス製作能力は、クリストバル・バレンシアガと並んで、

歴史上最も高い位置にあり、

サッカーにおけるペレとマラドーラといったらわかりやすいだろうか、

私たちもこの二人の能力には畏敬の念を抱いているのである。

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そう、和装は止まっているが、

ドレスは動く。

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木下ひろこさんはその花嫁の一瞬の動きに、

永遠の刻印を刻み込む。

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それらの写真は上垣さん同様、

「自然である」と言われることが多いが、

私に言わせれば、自然ではない。

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ソフトフィルターをかけず、

被写体深度が深めで、

厳しいほど構図が明快な、

クリアーで強い写真である。

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ブライダル写真?

今年3月の花嫁。
撮影上垣さん、
ヘアメイク福田さん。

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挙式は神社で。

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披露宴はレストランで。

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そして終了後、
新郎新婦の思い出の場所、
二人が知り合った会員制のゴルフ場で撮影。

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ブライダルカメラマンに必要なものは、おそらく、
通常のカメラマンとしての力量にプラスして、
ドレスやブーケやヘアメイクやコーディネイトに対する理解力と、
自然な感性だと思う。

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「いわゆるブライダル写真」という分野があって、
決まりきった結婚式の様子が、
決まりきった構図で、
ひたすら量産されている。

そこには、なにも個性がなく、
そこに映される人々は、
無個性な、大量生産の人形のようである。

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ひとつには、
ブライダルカメラマンは、
待遇が悪いのである。

後でクレームを受けないためには、
自由に、創造的な撮影することを諦め、
定番写真を量産するしかない。

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ドレスやブーケについて、カメラマンの目が肥えるまでには時間がかかる。
目が肥えたら、それはそれで、
良くないドレス姿の撮影は、厳しくなってしまう。

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そして、
皆が皆、感性というものがあるわけではない。

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追憶のコンタックス

ひろこさんが写真を見せながら自慢する。

「これはツァイスで撮ったんです」

「え?認識するの?」

「露出は大丈夫でしたけど、AFは効かないので、

マニュアルでピントを合わせました」

「ふうん」

それだけで会話が終わったのだが、

中身の説明にはかなりの字数を要する。

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上記写真は20Dという型番の、CANON社のデジカメで撮影したものである。

CANONのデジカメにつけるレンズはもちろん、

普通はCANONである。

そこに、カール・ツァイスレンズを無理矢理取り付けて撮影したという意味なのである。

そのカール・ツァイスとは、なんのレンズかというと、

元来コンタックスというカメラに取り付けるレンズである。

そう、ひろこさんは、デジカメはCANONだが、

フィルム時代は、コンタックスというブランドを使っていたのである。

ちなみにブライダルでコンタックスを使う人は、ほとんど存在しない。

メカとしてタフでない上に高価であるからである。

最近では業務として使うよりもむしろ、

趣味として使う人が多かったカメラである。

そのコンタックスをなぜひろこさんが使っていたかというとひとえに、

レンズのよさに惚れこんでいたからである。

そのレンズこそが、反復になるが、カール・ツァイスなのである。

カール・ツァイスとはドイツの名門レンズ会社の名前で、

光学機器では由緒正しきブランドである。

(現にSONYがそのブランド価値を見込んで、ライセンス製造をしている)

どれくらいのブランドかを理解するには、

日露戦争の日本海海戦において、

連合艦隊司令長官東郷平八郎がバルチック艦隊を撃破した際に、

首からぶら下がっていたのが、カール・ツァイスの双眼鏡であるといえば、

十分であろう。

(日露戦争とか、日本海海戦とか、

そこらへんの歴史をご存知ない方は、

一度ご主人なり、お父様にお聞きいただきたい。

その際の男性の目の輝きを見れば、

なんとなく意味がわかるかと思われる)

ツァイスレンズは、かつては絶対的な高性能を謳われたもので、

日本メーカーが台頭してきて以降はかつてのような唯一の存在ではなくなったものの、

それでもブランドではありつづけたし、

独特の風格は、確かにあったし、

その味わいをひろこさんも支持していた。

熱心なファンなどは、

「空気まで写すレンズ」と崇め奉っていたものであるが、

私見ではその特徴は、

「色ノリとコントラストと解像度のバランス」

であって、派手な発色も驚異的な解像度もないが、

能力のバランスよいために、

写真に特有の品格が出るのである。

下記が、フィルムで撮影したものの一例である。

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が、残念ながら時代の流れが襲ってきた。デジタル化である。

コンタックスも(その時には京セラに買収されていたのだが)

デジタル化に取り組まないわけではなかったが、あまりにも遅すぎた。

やっとのことで発売できたデジタル1眼レフはNデジタルという、

大きく、性能が低く、やたらに高額なものであって、

到底売れるはずがなく、

なおかつバージョンアップ版が、出なかった、

というより出せなかった。

そして経営不振でコンタックスというブランドは消滅してしまった。

ひろこさんはかつてより、コンタックスのデジカメに対する姿勢を嘆いてはいたが、

それでももしやと期待する気持ちがあったのだろうか、

なかなかデジカメは買わなかったのだが、

大勢には効し難く、結局CANONのデジカメに移行せざるを得なかったのである。

CANONのカメラにはCANONのレンズを取り付ける。

ツァイス君は用なしである。

かくてひろこさんの手元には、

あまり使われなくなったコンタックスのカメラボディーと、

あまり使われなくなったカール・ツァイスのレンズが取り残された。

かつて世界を風靡し、デジタル化の流れに乗れず、すたれていった名機が、

カメラバッグの底でくすぶっていたのである。

そんなわけで、冒頭の会話が展開されたのである。

嗚呼。

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挙式当日風景写真

「挙式当日風景写真」は、

ご承知のように、

今やブライダルの現場に置いて極めて重要な位置を占めるに至っている。

その日の風景を撮影の合間にパチリと写すだけであるが、

後で見直すと、

新郎新婦や、撮影者の心象風景を写しているような、

そんな気がしてくるから不思議である。

ひろこさん撮影のものは、

夕日と、

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夜景

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私が撮影したのは、

枯葉、

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沼と赤い花

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であった。

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らしくない

「いかにもブライダル写真」

というのは、

例えば新郎新婦が向かい合ってブーケを持って、目を見詰め合う、

といった感じのポーズを30秒ほど継続していただいて、

じっくり構図を決めて、パチリと撮影、

全体はモワモワとしたソフトフォーカスがかかっている、

そんな写真のことである。

今回の上垣さん撮影の、

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こんな写真は、

その系列の写真とは全く逆である。

花嫁はポーズを作っていないし、

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しばしば撮影されているという意識が無い。

決められたポーズや、

ブライダル定番の構図は念頭に無く、

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経過する時間の切断面を、

よりシャープに取り出すことに意識は集中している

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すると見た人は、

「自然な写真」と評価する。

とんでもない。

撮影しにくい条件で、

無茶をしながら、攻めた写真である。

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