コルレオーネ・ブライズ

3)原作の原作

「コルレオーネ・ブライズ」3回目である。

映画「ゴッドファーザー」は、
マリオ・プーヅォの原作を映画化したものである。

ところで原作の「ゴッドファーザー」にも、
原作というか、原案があるのである。
ドストエフスキーの、
「カラマーゾフの兄弟」という小説である。

それは、原作者が言っているわけでもなく、
世間で定説化していることでもないのだが、
両者を注意深く理解すれば、
自然に導き出される結論である。

ゴッドファーザーが映画の最高位を争う名作とすれば、
カラマーゾフの兄弟は、人類の小説の歴史の中で、
ほぼ間違いなく1位に輝く、傑作中の傑作である。
しかし、ゴッドファーザーと違って、
気軽に一読をお勧めするわけにはいかない。
長くて、グロテスクで、難解だからである。
しかし死ぬまでには読んでいた方がよい本かな、とも思う。

「カラマーゾフの兄弟」は、
父と、3人の息子の、家族の物語である。
構成が、ゴッドファーザーと全く同じである。

以下、ゴッドファーザーをG、
カラマーゾフをKと表す。

父:Gでは身を立てる為には殺人も厭わないマフィアのドン。
Kでは欲望のためにはなんでもする地主。

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長男:Gでは感情的で短絡的なファイターで、父が狙撃されるきっかけをつくる。
Kでも同じく感情的なファイターで、父が殺されるきっかけをつくる。

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次男:Gでは気の弱い性格。父が狙撃されるを見ながら、なにも出来ず、ファミリーの仕事から外される。
Kでは線の細いインテリ。父が殺されるのを予期しながら、なんら手を打てず、
自責の念から発狂する。

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三男:Gでは家を飛び出して第二次世界大戦に従軍する。
帰ってきて、事件の全てを収束させる。
Kでは家を出て僧院に入る。帰ってきて事件の全てを収束させる。

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カラマーゾフは、作者の死によって実現しなかったが、
実は第二部が構想されていて、
その主人公は三男になるはずであった。
ゴッドファーザーの第二部は、
原作では書かれなかったが、映画化されて、
実際それしか展開しようがないのだが、
三男マイケルが主人公になった。

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「ゴッドファーザー」が、
名作として称えられているのは、
ある意味当然とも言えるだろう。
文学の最高傑作の恩恵を、有効に活用しているのであるから。

そしてカラマーゾフの兄弟も、
作中に結婚式が登場するのだが、
続きは次回。

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2)結婚式と葬儀屋

コルレオーネ・ブライズ第二回である。

「ゴットファーザー」では結婚式のシーンが都合2回ある。

2回目が前回ご紹介した、シチリア島での三男マイケルの結婚式なのだが、

1回目は、映画冒頭の娘コニーの結婚式である。

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それでもって、この映画のクライマックスは、生まれてきたコニーの子供の洗礼式である。

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ということはつまり、結局のところ、この血まみれの映画のほぼ全編が、

結婚と出産と洗礼の間に存在しているのである。

大変秀逸な構造であるが、さらに秀逸なのは、

冒頭の結婚式のさなかに、復讐を依頼する客が来ていることである。

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葬儀屋のボナッセラである。

娘に暴力を振るった男が、裁判で執行猶予がついたことに我慢がならず、

ゴットファーザーに復讐を頼みに来たのである。

まったくもって、縁起でもない客だが、

しかしこれは、実際ブライダルの現場に居るわれわれにとっては、

驚くほど的確な、物語の作り方なのである。

時間には二種類ある。「ハレ」と「ケ」である。

「ハレ」というのは、たとえば「晴れ着」とかいう使い方がされるが、

生命が動く、特別な時間のことである。

お正月や、祭りの時間がそれである。

逆に「ケ」というのは、退屈な日常の時間のことで、

この時間の中では、生命はあまり動いていない。

それで、以下少々オカルトめくが、夏だからまあ書いてもいいだろう、

結婚式を控えたカップルの親族知人が、事故や病気に会う確立は、

どうも相当高いのである。これまた縁起でもない話だが。

結婚は新しい生命を生む行為だから、

その生命の動きの分は、かならずどこかに波及する。

そして波とは、つまり山があって、谷があるということである。

新郎新婦が山ならば、周りに谷が発生するであろう。

そのことを統計的に証明するだけのデーターはないけれど、

われわれの実感として確実に感じられることである。

激しく、劇的に波打つ「ハレ」の時間には、

全ては見境なしに、委細かまわず波打つのであって、

挙式を控えたカップルの皆様は、どうかご注意いただきたいのである。

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1)画像も場面も高コントラスト

このカテゴリー、「コルレオーネ・ブライズ」は、結婚式にかこつけて、

私、茂桐が好き勝手に自分の書きたいことを書く欄である。

一応業務スペースであるから、必要最低限の範囲で、

内容を結婚式に関係させる予定、ではあるのだが、

あくまで必要最低限の範囲であって、

顧客およびスタッフからのブーイングから身を守る以上の関連づけではありえない。

さて、カテゴリーの題名の由来であるが、

みなさんは「ゴットファーザー」という映画をご覧になったことはあるだろうか。

映画史上最高傑作を10本挙げろと言われれば、どうしたって10位以内に入り込む、

それくらいの名作である。多分アメリカでは1位になるのだろう。

是非鑑賞をお勧めする次第だが、

(amazon ゴットファーザー)

それはともかく以下の写真をご覧あれ。

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シチリア島での、主人公マイケル・コルレオーネの結婚式である。

恐ろしくスペース的に厳しい挙式会場ではあるのだが、

その件はひとまずおきます。

マイケルは、(マイケルと言うくらいだから)、

元来アメリカ人である。

彼は直前にニューヨークで、敵対するマフィアの一味の脳天を、

ピストルで至近距離からぶち抜いてしまい、

警察から逃れるために父の故郷のシチリア島に逃げていたのである。

(ではなぜその父がシチリアからニューヨークに渡ったのかといえば、

そのまた父親がシチリアのマフィアに殺されたから、

12歳の時に単身ニューヨークに逃げたのであって、

となればシチリアの安全性については、

健全な類推能力さえ働かせれば、

導き出される結論はおのずと明らかだろうと思われるのだが、

その件もひとまずおきます)

そのシチリアでマイケルは地元の娘に一目ぼれをして、

強引に結婚になだれ込んでしまう。

上記の写真写真は挙式風景だが、

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こちらは続く披露宴でのダンスシーン。

なんだか大層幸せそうである。

が、挙式終了後、幸せな新婚生活が始まったばかりだというのに、

花嫁は自動車に仕掛けられた爆薬

(無論、マイケルを殺すために仕掛けられたものだ)に、

不運にも若い命を絶たれてしまうのであった。

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木っ端微塵とはこの事である。当然マイケルは打ちひしがれる。

まことに悲惨極まりない。

「だからいわんこっちゃない、きみら一族には学習能力はないのかね」

とも言いたくなるが、その件もさらにひとまずおいて、

このシーンを客観的に考えれば、

以下のようになる。

前後の陰惨な殺しの場面と、間に挟まる幸福な結婚のシーンは、

強いコントラストを描くために、大変効果的なのである。

おそらく原作者マリオ・プーヅォは、

マフィア小説の陰惨さを表現するために

ことさらに恋愛シーン、結婚シーンは幸福に描いたのであろう。

いわば結婚式は「ダシ」なのである。

そして原作をほぼ忠実に映画化したのが、

フランシス・コッポラ監督だが、この男がまたいけない。

後年「地獄の黙示録」で、マネキンを使えばよいところを、

リアリティーがうんぬんと理屈をこねて、実際の死体を並べて撮影してしまい、

全世界から非難を受けたほどの人間である。

やはり、大変幸福な結婚式のシーンを撮影したのみならず、

ここに不朽の名旋律、「ゴットファーザー愛のテーマ」を投入する念の入れようなのであった。

メロディーが美しく、すなわちひと時の恋愛と結婚生活が美しければ美しいほど、

前後のシーンはいやましに陰惨に表現される、

それぞまさに、コッポラの意図したことであって、

この映画はえらくコントラストが高い照明を採用しているのだが、

物語もえらくコントラストが高いのである、

というあたりから話は始まるのだが、

長時間書くのは疲れるので、今日はこれまで。

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